マイクロソフトがApache POIに協力 プライドを捨てたMSの戦略

ApacheのPOIというソフトがある。

簡単に言うとJavaでエクセルやらワードやらのマイクロソフトOffice製品のファイルを読み書きするためのAPIだ。結構歴史は古く、2001年くらいからすでにプロジェクトとして動いていたらしい。

当時ExcelやWordにJavaからアクセスするのがほぼ不可能で、商用のライブラリも高価だったころに使わせていただいて、すごく助かった覚えがある。もっとも、日本語対応のなどない時代だったのでそれほど使えなかったのだが、それでもJavaから使えるという大きなメリットに恩恵をうけたものだ。

さて、そのPOIのことをしばらく忘れていたが、MS、次期バージョンの「Apache POI」開発に協力というニュースを見て久しぶりにPOIの名を聞いた。いつの間にかバージョンも3.0.2になっており、きっと使い勝手も大幅に向上しているに違いない。

さて、このニュースが面白いと思ったのは、POIのサブプロジェクトが思いっきりアンチMSの名称だからである。

OfficeがWord、ExcelPowerPointなどのソフトの総称であるように、POIもそれぞれの対応するソフトの総称に過ぎない。以下が対応表の一部だ。

MS Office POIのプロジェクト名 意味
Excel HSSF Horrible Spread Sheet Format(おぞましい表のフォーマット)
Word HWPF Horrible Word Processing Format(おぞましいワープロフォーマット)
PowerPoint HSLF Horrible Slide Layout Format(おぞましいスライドのフォーマット)

ごらんのようにHorribleとOffice製品のファイルフォーマットを小馬鹿にした名称から来ているのだ。マイクロソフトも由来について知らないわけはないと思うのだが、Open XMLのサポートのために協力することにしたらしい。

おそらく全盛期のころではありえない決断だっただろう。このちょっとしたところに、マイクロソフトの必死さが伺えるような気がして、興味深いと思った。