英国の完全無料携帯サービスBlykがMobile Marketing Awardを受賞

Blykというサービスをご存知だろうか。2007年の9月に英国でスタートしたMVNOであるが、登録時に入力させたユーザーのプロフィールやアンケートを元に広告を送るのと引き換えにタダで通話料無料で携帯電話が使えるというものだ。Nokiaの元社長ペッカ・アラピエティラが率いるベンチャーである。

かなり徹底して対象者を絞っていて、以下の条件に合う人しか登録できないことになっている。

  • 16歳から24歳であること。
  • イギリス本土に在住していること。
  • SIMロックのかかっていない携帯を持っていて、MMS(メール)に対応していること。
  • Blyk招待コードを持っていること。

このうち最後のBlyk招待コード、は以下の方法で手に入れることができるようだ。

  • 他のBlyk加入者からの紹介
  • Blykのパートナー企業のイベントやウェブサイト
  • ストリートのBlyk repという人からもらう

というものだ。

Blyk repたちは学校のキャンパスやショッピングセンターなどにいるらしい。昔Yahoo BBのモデムを道端で配り歩いていたのに似たイメージかもしれない。

いずれにしても申し込みをする際、詳細なアンケートに記入してもらい、それに基づいた広告を配信する。そのかわりにユーザーは月43分の無料通話と、217通のテキストメッセージを無料で利用することができる。

広告を送る対象をこれだけ絞り込むことによって、広告の価値を高めるという戦略はなかなかのものだと思う。実際広告へのレスポンス率29%という驚異的な数値をたたき出していて、プロファイリングせずに表示する広告へのレスが3〜6%、プロファイリングしても13〜20%であるモバイル広告の中では群を抜いていると伝えている。

Blykの最新のプレスリリースを見ると、Mobile Marketing Awardという賞を「携帯サービスプロバイダーからの最優秀新サービス」という部門(Best New Offering from a Mobile Services Provider)で受賞したことが書かれていた。その勢いでサービス開始から1年で10万人のユーザーを獲得するというターゲットに向けて非常によい調子であると書かれている。

ところが筆者の英国に在住している友人(40代のカナダ人)に聞いたところ、Blykについての広告を見たり聞いたりすることはほとんどないので、Blykの存在すらすっかり忘れていたとのこと。恐らくはマーケティングの対象も若者に絞っているため、おじさん世代の彼にはBlykのマーケティングが目に付くことはほとんどないのであろうか。

2008年後半にはオランダのVodafoneで同サービスを展開する予定であることも発表している。さらに他の欧州のキャリアとも交渉中であるとのことだ。

日本でも同様のサービスを始めてみたらおもしろいことになるかもしれない。ソフトバンクあたりの回線でどこかやってみないものだろうか。